シグネットリング(印台リング)をオーダーする前に知っておきたい事〜カレッジリングの源流を探る〜
目次
はじめに
弊社はシグネットリング(印台リング)のオーダーメイドを承っております。
上記4種類のベーシックな形状からセレクトし、印面のデザインをお知らせいただければ、シンプルにオーダー可能です。
さらにこだわるなら、フルオーダーにも対応致します。
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シグネットリングの歴史
シグネットという言葉自体はアングロ・ノルマン語と中期フランス語に由来すると考えられており、主な意味は「公式目的で使用される小さな印」です。
古代メソポタミアのローリングシールリング
メソポタミアの人々が柔らかい粘土でローリングシールとして使用したのは、紀元前3500年からの長い歴史があります。
(画像出典:https://www.gentlemansgazette.com/signet-ring-primer/)
古代エジプトのツタンカーメン「ファイアンスリング」
古代エジプトでは、ファラオ・宗教指導者・貴族は、ファイアンスと呼ばれる石や陶器でできた指輪を身に着けていました。リングは所有者の力と権威を示すために装飾とシンボルで装飾され、芸術・歴史・科学など、着用者の興味ある内容を描くこともありました。
ツタンカーメンのカルトゥーシュが刻まれた古代エジプトのファイアンスリング。
(画像出典: https://www.biancajones.co.uk/the-history-of-the-signet-ring-pt-2/)
中世
14世紀エドワード2世の時代に、すべての公式文書は王の印章リングの印を押さなければならないと決められました。
画像は1300年頃のマイケル・ゾリアノスの六角形のゴールドシグネットリング。
印面には「マイケル・ゾリアノスの封印」と書いてあります。
シーリング用の為に、文字は左右反転の鏡像になっています。
(画像出典:https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Gold_Signet_Ring_of_Michael_Zorianos_MET_LC_18_145_42_s6.jpg)
近代
シグネットリングは、粘着性のある封筒やフォブスタンプなどの出現により、安全で信頼できる通信手段としての使用は無くなりました。一方では、特定の社会的地位と名声を示す手段としては存在意義を持ち続けました。
多くの指輪は実用性が失われ、単なるジュエリーになったため消えていきました。
ただ今日の文化でも、ステータスの表現としての指輪の使用が根強い場面が存在します。
シグネットリングは、階級と富の象徴としての機能がありましたが、代替わりのたびにオーダーメイドするにはかなりの費用のため、多くの家族は父から息子に代々受け継がれることになりました。
社会の裕福な階層だけが、一代限りの彼ら専用の指輪を持っていました。(王・宗教指導者・医学博士・弁護士・弁護士・その他の貴族)
リングの人気が高まると、多くの家族はこれらの重くて大きなリングを家族の宝石箱に入れました。
つまり、実用性よりも財産としての価値が重視されるようになったわけです。
さらに装飾はより華やかになりました。
男性たちはそれらを着用せず、代わりにチェーンまたは懐中時計のフォブに装着することを選択しました。
(画像出典: https://www.ebay.com/itm/ANTIQUE-GREEK-OTTOMAN-RUSSIAN-SILVER-SIGNET-FOB-SEAL-EAGLE-COAT-ARMS-BLOODSTONE-/273953577758?_ul=MX)
(画像出典:https://poshmark.com/listing/Victorian-mesh-watch-fob-gold-filled-antique-seal-59ee5514f0137d0e180e9a7b)
現代における伝統・慣習としてのシグネットリング
今日シグネットリングは、本来の目的である「世代から次の世代へと受け継がれたファッションステートメント」や「家宝」としては、あまり意味を持たなくなりました。
イギリスの王室やヨーロッパの他の貴族たちは、今でも本物の継承された印章リングを身に着ける少数の人々となっています。
リングメーカーに家族のサインリングを作成するよう依頼する人はまだいますが、伝統的なサインリングを所有しているほとんどの男性は祖先からそれらを継承し、最終的にはそれを次の世代に伝えます。
したがって彼らのシグネットリングは、一代限りの個人としての真のシンボルではありません。
先祖の誰かが作ったオリジナルシンボルが、そのままの形状で受け継がれた物であることが一般的です。
今日のほとんどの場合、男性がシグネットリングを着用するのは、ファッションなどによる個人的なスタイルの問題です。
シグネットリングの形状(3D)
シグネットリングのデザインはトップ部分が印面(切り落としたような平面)となっているのが絶対条件です。機能性を重視するためにトップ以外の作り(サイド部分)はシンプルなことが多いようです。
ではトップとサイドの形状に分けて、代表的なデザインのパターンを挙げてみます。
トップの形状
トップは印面となる部分です。
リングをはめた時の「顔」になります。
円形
円形は角がないので着け心地がよく、シグネットリングの基本的な形状です。
アレンジとしては、縦長・横長の楕円形です。
四角形
四角形は、円形と同じように基本的な形状です。
アレンジとしては、縦長・横長の長方形があります。
偶数多角形
六角形・八角形があります。
四角形の角を直線的に面取りしたものです。
奇数多角形(エンブレム)
三角形・五角形・七角形があります。
辺の数が奇数ですので、トップの片方が鋭角になります。
バランス的に鋭角部分を下に見るのが一般的で、エンブレムの形になります。
角を落とした形状
貴金属製品は、使い込めば自然に角は落ちていきます。
完成時にエッジをしっかり残す仕上げ方が基本ですが、デザイン的にあえてエッジを落として柔らかい形状に仕上げることもあります。
サイドの形状
サイドはリングを着用した際に見えにくい場所ですが、着け心地に大きく関わってきます。
リングのボトム部分が細く絞ってあるデザインの方が、着け心地はたいへん良くなります。
直線型①(垂直)
トップからボトムまで直線のデザインは、たいへんゴツく仕上がります。
着け心地はあまり良くはないですが、アピール度は抜群です。
直線型②(斜め)
トップからボトムに斜めに絞ってあるデザインです。
直線型①より着け心地は、やや良くなります。
絞り型①(幅広)
ボトムを曲線的に少し絞ったデザイン。
着け心地は、直線型よりもかなり向上します。
絞り型②(幅中)
ボトムを曲線的に絞ったデザインで、定番の形状です。
着け心地とデザイン的なバランスもとれています。
絞り型③(幅狭)
ボトムを曲線的に大きく絞ったデザイン。
着け心地はかなり良くなりますが、ゴツさやアピール度を求める方には好みが分かれるデザインです。
装飾模様の入れ方
シグネットリングは、トップの印面以外はフラットな物が多いです。
装飾が入る場合について、実際の製品のデザインを見ていきたいと思います。
サイド全体
サイド全体に装飾が入っているリングをあつめてみました。
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https://www.instagram.com/p/B7WjAnSBY7L/?utm_source=ig_web_copy_link
サイドにワンポイント
以下のリングは、両サイドにワンポイントが入ったデザインです。
ジュエリーやアクセサリーの定番モチーフ、ユリの紋章(フルール・ド・リス)です。
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次のリングは、ダビデの星がワンポイントです。
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トップ周り
文字やマークを彫るトップの平面部分を囲うように装飾が入ったリングです。
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石のセッティング
石をセッティングした例は、以下のような種類があります。
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デザインの組み合わせパターン
シグネットリングの形状デザインは、以下の要素の組み合わせによって決まってきます。
【トップの形状】×【サイドの形状】×【トップ周りの装飾】×【サイドの装飾】×【石】
例えば、以下のようにデザインする事ができます。
【トップの形状】…円形-縦長
【サイドの形状】…絞り型②(幅中)
【トップ周りの装飾】…ミル打ち
【サイドの装飾】…ユリの紋章
【石】…トップに青い石
トップに入れるデザイン(2D)
トップ部分に入れるデザインについて知っておくべきことは以下のとおりです。
シーリングについて
手紙に封をする時に、蝋(ワックス)を垂らして紋章などのスタンプを押すことを「シーリングスタンプ」または「封蝋(ふうろう)印」と呼びます。
シグネットリングは本来、このシーリング用として使用されました。
押した跡として凸模様になるように、リングの側は凹彫り(沈み彫り=インタリオ)になっています。
また、文字は左右反転の鏡文字として彫られています。
インタリオ(イタリア語: Intaglio)は、沈み彫りの技法、またはその技法が施された美術・工芸作品。動物や人の顔などをかたどった装飾品のほか、手紙等の封蝋に押しつけ、反転した形状を転写するための実用品などもある。インタリオに対して、浮き彫りを施した作品はカメオと呼ばれることもある。
(出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/インタリオ)
https://www.instagram.com/p/B59FOLdlenG/?utm_source=ig_web_copy_link
実際の作業手順は、こちらの動画がたいへん参考になります。
モノグラムについて
シグネットリングのトップに彫り込む代表的なデザインは「モノグラム」です。
モノグラム (英: monogram、日: 組合せ文字[1]:575 [2]) とは、2つ(まれに3つ以上)の文字や書記素を組み合わせた記号(単に並べただけのものとは区別される。外枠があるならそれに倣って変形していなければならない)。個人や団体の頭文字で作られ、ロゴタイプとして使われることが多い。
紋章や紋様について
シグネットリングのトップに入る模様で、モノグラムに並ぶ定番モチーフは西洋の「紋章」です。
ヨーロッパを発祥とする西洋の紋章には、紋様が描かれた盾(エスカッシャン)を中心として様々なアクセサリーが加えられているものも多く、これらの外部要素を含めた全体を紋章と呼ぶこともある。しかし、サポーターを始めとするアクセサリーは紋章発祥から相当な期間が経過した後になってから追加されるようになったもので、厳密には紋章(コート・オブ・アームズ)とは盾のことだけを指す。
手彫りと機械彫りについて
手彫りのシグネットリング
専門職人による手彫りの場合は、刃物を入れた部分の金属がとても綺麗に輝きます。
職人の技量が出来に直結しますので、職人技に対する感動を得ることもできます。
印刷物のような機械彫りとは違う「味」があるのが手彫りの良さでしょうか。
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機械彫りのシグネットリング
機械彫りの場合は、彫った模様の底が綺麗に平らに仕上がるのが特徴です。
表面もデザイン通りに印刷物のように正確に仕上がります。
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シグネットリングの発展形
シグネットリングの発展形として代表的なのは、カレッジリングやチャンピオンリングです。
シグネットリングがトップ部分のみに文字や紋章を配置するのに対し、リング全体にまで隙間なく文字やロゴなどを配置したのが、現代のカレッジリングやチャンピオンリングです。
シグネットリングからのデザインの進化は、こちらのコラムを参照ください。
本コラムは以下のサイトを参考にさせていただきました。
参考資料:
http://cultureandcommunication.org/deadmedia/index.php/Signet_Ring
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