カレッジリングの歴史について知っておきたい3つのこと

カレッジリングを作る前に、カレッジリングの歴史について知っておきましょう。
このコラムでは、知っておきたい3つの大事なことをお話ししたいと思います。

 

①カレッジリングはウェストポイントから始まった

 

カレッジリング(クラスリング)の歴史は、特定の宗派が共通するリングを身に着け宗教との関係を示した古代エジプトまで遡ることができます。

シェションク1世のシグネットリング

(画像出典: https://gemma-antiqua.tumblr.com/post/159063977024/ancient-egyptian-gold-signet-ring-dated-to-the)

第26王朝古代エジプトの金印リング。紀元前575年。シェションク1世が所有するこのリングには、彼の名前と「神聖なる崇拝者の最高責任者」という肩書が刻まれている。

その後この習慣は古代ローマ人にも受け入れられました。
クレオパトラはマルクス・アントニウスに、彼を魅了する指輪を与えたと言われており、彼はその後、自身の近衛兵用に同様の指輪を作り与えました。

古代ローマのシグネットリング

(画像出典:https://www.pinterest.jp/pin/522839837970338775/)

カレッジリングの歴史を調べてかならず行き着くのは、1835年の米国陸軍士官学校の卒業生に与えられたという「クラスリング(class ring)」です。
当時バージニア州ウエストポイントにあったこの学校は、当時唯一の軍事アカデミーで、エリート主義の名門学校として人気がありました。

独立戦争の際にハドソン川の西側に位置する重要な軍事基地の一つであった場所に建てられたことから通称ウェストポイントと呼ばれています。米陸軍士官学校は、陸軍将校の養成機関として1802年に創立され、過去に2人の大統領、4人の米国以外の国家元首、20人の宇宙飛行士等を輩出し、大学ランキングとしては全米で14位(フォーブス高評価ランキング2016年)の名門校です。
(出典:「ウエストポイント(米陸軍士官学校)を訪問」https://www.jlgc.org/ja/01-18-2018/)

 

1835年の出来事

 

1835年当時、ウェストポイントではメンバー間の団結を視覚的に表現するために「クラス全員が同様のデザインのリングを身につけるべきだ」という考えが起きたようです。
生徒たちは卒業のタイミングで、ウェストポイントで過ごした時間の記憶として、卒業後にも残る何かを披露したかったのです。

それが、後に全米のみならず世界に広まったカレッジリング(クラスリング)の誕生でした。
ちなみにこの1835年は、アメリカでは作家マーク・トゥエイン、中国では西太后、日本では新撰組副長土方歳三が生まれた年です。

1835年のリングのデザインはネットで調べても出てきませんが、1900年頃までは今のカレッジリングとはかなり異なったデザインです。
19世紀のカレッジリングは、伝統的なジュエリーのテイストが強かったようです。

その中の一つがいわゆるシグネットリング(印台リング)タイプで、その系統で進化したのが現在のカレッジリングです。

(デザインの歴史については私の別コラム、こちらをご参照ください。〜デザインとしてのカレッジリングの由来〜)

シグネットリングについてはこちらのコラムに詳しくまとめてあります。

 

1835年にカレッジリングの歴史が始まりましたが1836年には指輪は製作されませんでした。理由は不明です。1869年以前、士官候補生は独自のリングを設計していました。1869年にリング委員会が設立され、リングの設計にある程度の統一性を持たせようとしました。リングの基本設計の標準はリングの片側にアカデミーの紋章を、もう一方にクラスの紋章を置くことでした。

(出典:「https://www.west-point.org/family/bicent/rings.html」)

 

全国に波及

 

1835年に陸軍士官学校で生まれたカレッジリングは、その後ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学などアイビー・リーグと呼ばれる東海岸の名門私立大学にも広まりました。

180年以上経った今では、カレッジリング(クラスリング)はほぼ全米の高校や大学で共通する「誇り」と「達成」の象徴となっています。

※チャールストン大学では、1843年からカレッジリングが作られているようです。

 

②「カレッジリング文化」の発展(込められた意味と伝統)

 

1835年にウエストポイントで始まったカレッジリングがまたたく間に全国に広まり、卒業の記念としてカレッジリングを作る事が「文化」と呼べるほどまでに成熟していったようです。

広まっていく中でカレッジリングには様々な「意味」が込められ、現在まで誕生から180年余りで深い「伝統」が築かれてきました。

 

カレッジリングを着ける(はめる)指

 

弊社ブリコラージュに依頼されるお客様から多く寄せられる質問が「カレッジリングはどの指に着けたらいいのですか?」というもの。
併せて「どちらの向きが正しいですか?」など。

米国陸軍士官学校のクラスリングは、伝統的に左手に着用されていますが、最近の卒業生は自分の右手に着用することを選択します。同じ指にウェストポイントリングと結婚指輪の両方を装着することで生じるジレンマに対応する為です。

一部の卒業生は、左手に両方(クラスリングと結婚指輪)を着用することを選択します。ウェストポイント在学中は、クラスの紋章は内側にして心臓に最も近くなるように着用されます。
卒業すると、ウエストポイントの紋章が心臓に最も近くなるように着用されます。
(出典: https://en.m.wikipedia.org/wiki/United_States_Military_Academy_class_ring)

ウェストポイントの卒業生は、右手・左手を問わず、必ず薬指に着ける(はめる)ようです。

薬指は「リングフィンガー(リングの指)」と呼ばれます。
古代エジプトでは、左手の薬指の血管は心臓までつながっていると考えられていました。

(出典: https://www.west-point.org/family/mem2004/ring.html)

 

リングの渡し方

 

リングを卒業生に渡す儀式は「リングセレモニー」と呼ばれ、卒業の際の伝統儀式となっています。
学校によって儀式の内容は違っているようです。
日本の卒業証書授与式のように、学長や教師から直接リングが渡される場合もあります。

リングセレモニーは学校によって異なる場合がありますが、古典的なセレモニーにはスタッフ/教師からの感動的なスピーチ、そしてリングの配布が含まれます。

各生徒の名前が呼び出され、その生徒はステージに上がってリングを受け取ります。伝統的に生徒に指輪を与えるのは学校の教師です。生徒は特定の教師に指輪を渡すように要求できます。リングは閉じた箱の中にあり、生徒が席に戻っても箱は閉じたままです。

これはすべての生徒が指輪を受け取り、再び席に戻るまで続きます。この時点ですべての生徒は立ち上がるように求められ、その後すぐに箱を開けて指輪を見せるように求められます。

(出典: https://www.herffjones.com/resources/parents-and-students/the-class-ring-ceremony/)

以下はリングセレモニーの動画です。
学校によってセレモニーの雰囲気は違っていますね。

 

恋人への約束

 

自分のカレッジリングを恋人に渡して「永遠の愛」を誓う習慣があります。
エンゲージリングの代わりの意味です。
渡されたリングは、チェーンに通してペンダントにすることもあるようです。

(出典: http://classringspriceih9.blogspot.com/2012/02/class-ring-size-one-size.html)

 

ほとんどの高校生はクラスの指輪を買いました。ボーイフレンドはクラスリングとレターマンジャケットをガールフレンドに渡し、ガールフレンドはクラスリングをボーイフレンドに渡しました。リングとジャケットは、カップルが「安定している」、または長い間付き合っている兆候でした。
(出典: https://mcnicholasmilestone.com/2012/11/14/class-rings-lose-significance-and-meaning/)

 

リングの回転

 

卒業時に、リングを外側に向けるという独自の伝統があります。
この「リングの回転」は、リングの着用者が卒業して世界に直面する準備ができていることを表していると言われています。

クラスメート、家族、および教師にリングを回してもらうこともあります。
彼らがそれを回す方向は学校ごとに異なります。

 

 

 

alumni(アルムナイ=同窓生)文化

 

米国では同窓生のアイデンティティの象徴として、カレッジリングが重要なアイテムになっています。
近代のalumni(アルムナイ=同窓生)文化の発展は、カレッジリング文化の高まりと非常に密接なつながりがあるようです。

カレッジリングを身につけることが自己確認行為(act of is identity)となっています。

 

アルムナイステッカーに、カレッジリングやクラスリング……。

海外の大学では、卒業すると「Alumni(アルムナイ=同窓生)」となり、オリジナルアイテムを身に付けて出身大学をアイデンティティとして示す文化があります。

ステッカーと違いアクセサリーとして身に着けられるので、ビジネスシーンでもリングをきっかけに出身大学の話が弾んだり、パーティーなどでも会話のネタになったりしてくれます。

(出典: 卒業してからが始まり!?海外の「アルムナイ文化」を紹介 https://alumnavi.official-alumni.com/archives/1799)

 

alumni(アルムナイ=同窓生)文化についてはこちらのサイトが詳しいです。

 

③カレッジリングの今

 

大学の象徴的な存在となったカレッジリングですが、カレッジリングにまつわるどんなイベントがあるのか見ていきましょう。

リングダンス

一部の学校では、公式・または非公式の式典としてリングダンスを開催しています。通常学生たちは、自分が卒業していないという事実を示すために、自分に面した(自分が読める文字の向きで)リングを着用します。

(参考: 「リングダンスの歴史」https://www.thecollegianur.com/article/2019/02/ring-dance-history)

 

本来はカレッジリング進呈のイベントだったようですが、今では海外ドラマにたびたび登場する「プロム」のようなダンスイベントも多いようです。

フォーマルな衣装で、恋人または親御さんをエスコートします。

 

巨大なカレッジリングが会場に設置されているリングダンスもあります。

リングダンス

(画像出典:https://classcouncils.tamu.edu/ring-dance/)

 

 

メモリアルプログラム

 

カレッジリング発祥のウェストポイントでは、先輩たちから寄付されたリングを溶かして現卒業生用のリングに再生する「メモリアルプログラム」という企画があります。

2019年までに合計575個のリングがこのプログラムに寄付されました。
亡くなった卒業生のご遺族からの寄付が多いのかも知れません。

このプログラムが継続されることにより、想いが受け継がれ、学校の伝統が永遠に続いていくのでしょう。

 

まとめ

カレッジリングの歴史を知ることで、作品の見え方も変わってくることと思います。
この機会にカレッジリングの背景にある文化についても目を向けてみてはいかがでしょうか?

弊社ブリコラージュは、お客様の想いをカタチにするために丁寧な仕事を心がけています。

オーダーの際は、メールやお電話で皆様の想いを遠慮なくお伝えください。

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カレッジリング作品集

 

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貴金属アクセサリー工房ブリコラージュでは、3DCAD・CGとハンドメイドを駆使して、さまざまな商品を製作しています。業者さんやセミプロ・アマチュアの方まで、貴金属アクセ・ジュエリーの完成品からマシンメイドのワックス原型までの依頼をお受けいたします。 問い合わせメールはコチラ。 問い合わせ電話番号は、0776-61-0015(お気軽にどうぞ)